ご挨拶 2017.01.15

 

手渡しこそが最高に思いやりのこもった届け方だと思うのだけど、ボールは投げるものだ、と世界は言う。

そのくせ、どんなに気持ちを込めても 暴投すると誰も受け取ってくれない。

コントロールが効くようになるまで練習してからでなければ、私はなにも届けられないのかと絶望した日が、

何日も何日も私の中に積もった。

あなたはどうなんだろう。

たしかなことはひとつとして分からないけれど、

ひょっと目の前に現れたあなたが、受け取ってくれるような気がして、

私はボールを投げる先としてあなたを選んだ。

どうも、一度、あなたに向かってボールを投げつけた者です。

練習不足は否めなかった。

こちらを向いてくれているのかも分からなかった。

ならば、

もっと確実な球種を選ぶべきだったのかもしれない。

でもなんとなく、

あなたなら

受け取って投げ返してくれるんじゃあないかなって思った。

その頃は、負け続きだった。

至近距離で確実なコントロールを求められるとプレッシャーにすぐ負ける。

ついでに言うと最近も。

 それで、見えないような遥か遠くに思いっきり投げてみたかったっていうのもある。

受け取ってくれる人がいるなら、世界はまだ優しかったって思えるし。

地平線のその向こうにも人はいたんだって、

私の目を刺す光を放って騒がしいこの画面の向こうにも人はいたんだって、信じられるし。

そうやって

世界の深さを測りたいような気持ちも孕ませてボールを投げた。

そしてたぶん、投げ返してもらえたんじゃないかと思っている。

間違っているのなら、笑ってほしい。

だけど、私は信じてしまう。

いま、この手のなかにあるのは私が投げたはずのボールだ、と。

手品師が、手品師でないような顔をしてボールをすり替えていたら別物だけど。

手品師は手品師として登場しなければ彼らの欲しいものは手に入れられないでしょう。

だからきっと、これが、私が投げて、

あなたに返してもらったそのボール。

 

ありきたりな例え話、拙い文章で

思いの外ここまでが長くなってしまった。

ここからが、ご挨拶。なのに。

 

まだお付き合いいただけるなら、

よく見てほしい。

名乗るような名前、考えたんだけど持ち合わせがないから、

よく見てほしい。

 

白だ。表面のザラザラした白。

色んな色を混ぜて出来る黒より協調性はない。

だけど他人の色を映えさせやすい色。

私を丸めて捏ねてこんな形に作った人は、私に濃紺を求めたから、反抗の白。

断っておきたいのは、黒も濃紺も好きだけど、

あえて白だということ。

黒と濃紺の美しさを忘れないための白だということ。

その形は空気抵抗が少ない形。

平たいだろうか。丸いだろうか。

今日はボールな気分だから丸か。

Twitterでは平たいのだけど。

形はある程度自由。

決めるのはあなたに任せたっていい。

そして、

手に取ったら分かると思うけれど、

大暴投を繰り返したせいで

すこし泥が付いて擦れてもいる。

象の世界ではまだ新人。

猫の世界では相当古参。

そんな白。

近々ペンキの海に飛び込む予定。

だけど、白だということに変わりないから、よく見て覚えていてほしい。

そして、

気が向けばよろしくしてやってほしい。

ペンキの海の中に、黒を一滴恵んでくれるとうれしい。

どうか。